溶射とは


 基本的な溶射技術の構成を図1に示します。図からわかるように、溶射とは、材料を熱源(温度は溶射法により数百Kから数万K)により、加熱加速して基材に吹き付け、皮膜を形成する表面処理技術です。この皮膜に、さまざまな機能を付与し、目的の特性を発現させます。

 

溶射材料の重要性


溶射は図1にありますように、大きく分けて、次の三つの要素技術より構成されています。

1.材料
金属、セラミックス、プラスチック及びそれらの複合材料
2.溶射機
プラズマ、フレーム、アーク、HVOF等
3.溶射施工
各種パラメーター(電流、電圧、ガス流量、溶射距離、材料送給量等)の設定、基材の前処理、皮膜の後処理等

どの要素が欠けても溶射技術は成り立たず、材料の特性を皮膜に付与するために溶射機およびその施工技術は大変重要です。しかし、本来材料が有さない特性を皮膜に付与することはできません。従来にない皮膜特性必要とする場合、新規に材料を開発するしかありません。この観点から、材料技術の重要性がおわかりになると思います。

図1

 

粉末溶射材料


溶射材料は溶射法によって、線、棒、粉末の形態をとります。しかし、線を製造するには延性が必要で、かつ線径の精度が必要なためほぼ金属に限られます。また、棒は延性に乏しいセラミックスやサーメットを焼結して製造されますが、十分な強度及び精度を必要とするため組成が限定されますし、さらに加工コストが高い等の問題があります。これらと比較すると、粉末は最も制約がありません。さらに単一の組成だけでなく、2種及びそれ以上の材料から容易に複合材料を製造することができます。これらの理由で、溶射材料の種類は粉末が圧倒的に多く、粉末は溶射技術において最も重要な材料と言えます。